心臓神経症について

心臓に異常はないと言われたけれど…

病院で心臓に異常はないと言われたけれど胸が痛い、ドキドキ動悸がする、何だか息苦しい。
このように心臓自体に問題はないのに、心臓病のような症状が出るものを「心臓神経症」と言ったりします。

心臓神経症の多くは、ストレスや緊張状態が続くことで自律神経が乱れ、このような症状が出るのではないかと言われています。
※自律神経失調症について詳しくはコチラ

心臓の病気は、主に活動中や運動中に症状が出て短い時間で治まることが多いのですが、心臓神経症の場合は安静にしているときに出て症状も長く続くことが多いのが特徴です。

心臓に問題がないと分かってはいても、急に動悸がしたり息苦しくなったりするのは不安になるし辛いものです。
病院で症状を和らげるための薬を出されることもありますが、鍼灸ではまた違った見方から心臓神経症をとらえているため、なかなか改善するのが難しい動悸や息苦しさなどにも、アプローチすることができます。


お腹に溜めているエネルギー

運動や武術をされている方や瞑想をされている方はご存じかもしれませんが、東洋医学ではお腹のおへその少し下の部分を「丹田(たんでん)」と言ったりします。
この丹田は体のエネルギーを溜めておく大事な部分で、ここがしっかりと充実していることが健康や元気でいるためにとても重要だと考えられています。

この丹田と関わりが深いとされているのが「腎(じん)」と呼ばれるものです。
東洋医学でいう腎とは、腎臓と見えない体の働きを合わせた概念のようなもので、人が生まれてから老いて亡くなるまでの生殖、出産、成長に関する働きのほか、日々の活力にも大きく関わっています。

この腎は、丹田にエネルギーを留めておくための働きも担っています。
エネルギーは放っておくとパーッと拡散していってしまうので、電池に電気を留めておくように丹田にエネルギーをギュッと留めておく力が必要なのですが、その力を受け持っているが腎なのです。

腎がしっかりしていると、溜めているエネルギーは必要なとき必要な分だけ使うことができるので問題ありません。
ところが何かのきっかけで腎のギュッと留めておく力が弱ってしまうと、その弱まった隙を縫って放電するようにエネルギーが漏れていってしまいます。

その漏れたエネルギーは、基本的に体の上の方に向かって逃げていくのですが、特に腎と関係が深いとされている心臓に向かうことが多いのです。
この過剰なエネルギーが心臓にある状態、これが症状として現れたものが、動悸や胸の痛み、息苦しさといったものになります。


腎の力が弱まってしまうきっかけ

腎の力が弱まってしまうきっかけとなるものについてはいろいろと考えられますが、特に睡眠不足、休息不足、消耗するような忙しさやストレス、大きな病気や手術、足腰の冷え、立ち仕事などがあげられます。

また生まれたときから腎の力が強い人、そうではない人という体質の部分も大いに関係がありますので、他の人は精力的に活動できているから自分も頑張らなくては…と自分の体力気力を超えたことをしないことがとても大切です。
自分は自分のできる範囲で、心身をすり減らすことのないような働き方や生活を心がけましょう。


東洋医学は全体を見ている

東洋医学はつねに全体を見ているので、たとえ心臓や体の上の方に症状が出ていたとしても、その場所に原因があるとは限らないと考えます。

心臓神経症は自律神経失調症の一つの症状として見ることもできますが、東洋医学はまた違った視点から考えることができるので、その方の体質や全体を見て原因を判断し、全体のバランスを整えるという特有のアプローチをすることができます。

また不眠、不安など他の症状が一緒に出ている場合も、全体のバランスを整えることで、いろいろな症状が同時に改善されていくことが多いです。

心臓に異常はないけれど、胸が痛い、動悸がするといった症状でお困りの方、どうぞお気軽にご相談ください。