緊張をゆるめることの大切さ

鍼灸で体をゆるめる

ゆるむことで気づく

鍼灸の施術では、首や肩など部分的なコリが和らいでゆるむことはもちろん、体全体の緊張もふわっとゆるみます。

ゆるんでみて初めて「自分は緊張してたんだ」「体に力が入ってたんだ」と気づかれる方も多いようです。

常に体に力が入っているとそれが当たり前になり、自分で気づくことがなかなか難しくなってしまうのですね。



体が緊張している状態とは

危険な状況だと判断している

体が緊張している、力が入っている状態というのは、実は思った以上に心身に影響を及ぼしています。

筋肉が収縮して固まった状態ですから、まず血流が悪くなったり代謝が滞ったりして痛みや不快感が出てきます。

そしてやっかいなことに、筋肉が収縮している状態は「体が緊張しているから今は危険な状況だ」と筋肉が脳に伝え続けている状態でもあるのです。



交感神経が強く働いている状態

自律神経の交感神経、副交感神経についてはご存じの方も多いと思いますが、緊張している状態は交感神経が強く働いている状態です。

交感神経は、もともと活動時や危険が迫ったときなどに働く神経です。



危険に対応するためのモード

今は日常で危険を感じることはほとんどありませんが、昔はいつも危険と隣り合わせに生きていました。
そのため、何かあったらすぐにパッと対応するための強い交感神経モードに切り替えなくてはいけません。

たとえば危険な動物が襲ってきたら、筋肉を収縮して俊敏に動けるようにし、心拍数を上げて血液をめぐらせ、体を覚醒モードにします。

また体だけではなく、つねに危険がないかを察知するために用心深くなり、心も緊張して不安な状態になります。

そして、危険が去れば今度は回復のための副交感神経が働いて、心拍数や呼吸も穏やかになり、筋肉もゆるんで心も体もほっとリラックスするモードになります。



現代は危険が少なくても…

現代の日本では、日常で命の危険を感じるようなことはほとんどありませんが、その代わりパソコン作業などでずっと同じ姿勢を続けたり、様々なストレスから体を緊張させていることが多く、普通なら収縮してもすぐにゆるむはずの筋肉がずっと収縮して緊張しっぱなしになっています。

そうなると脳は「まだ危険な状況が続いているんだな」と判断するため、交感神経が過度に働きづつけ、覚醒モードのときの症状として、動悸、不眠、不安、緊張などが出てきてしまうのです。



ゆるむことで危険が去ったと判断する

このように筋肉の収縮と自律神経は大きく関わっていますから、筋肉のコリを和らげる、体に力が入っている緊張をゆるめるということは、ただ単に筋肉がゆるむ以上に心身に大きな影響を与えるのです。

体がゆるむと「危険な状態は去ったんだな」と脳が副交感神経のリラックスモード、回復モードに入ります。

抑えられていた消化活動が再開してお通じがよくなったり、よく眠れるようになったり、心も穏やかになり安定してきます。
また体の不調があれば、回復しようと体は動き始めます。



普段から緊張をゆるめることを意識

体をゆるめることは、想像以上に大切なことなのですね。

普段からもこまめな休憩、リラックスを心がけることで、交感神経の過度な緊張状態を作ることが少なくなり、自律神経の乱れによる不調が出にくくなります。

その日の終わりに1日の緊張をリセットする習慣をつくるのも大変効果的です。
よかったら、心がけてみてくださいね。