鍼やお灸の刺激量について

どのぐらい刺激するのか

鍼灸では、どのツボを選んで鍼やお灸をするのかが重要になってきますが、そのほかにも「どのぐらい刺激をするのか」というのも大切です。

鍼やお灸は手技によって、強い刺激から弱い刺激までいろいろと変えることができます。
また、全体でたくさんツボを使えば刺激量は多くなりますし、少しのツボであれば刺激量は少なくなります。

施術時間も関係があります。
長いとそれだけ刺激量が多くなりますし、短いと刺激量は少なくなります。

お灸に使うもぐさ

刺激の量は決して多ければよいというものではなく、ちょうどよい塩梅が求められます。
「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」という言葉がありますが、まさにその通りで刺激が強すぎたり多すぎたりするために、かえって具合が悪くなってしまうこともよくあります。



刺激量は風土や時代によっても変わります

鍼灸は古代の中国で発祥したものですが、日本に伝わってきてからは日本の気候風土で暮らす日本人に合わせて、鍼が細くなったりお灸も小さくなったりと全体的に優しい刺激に変化していきました。

また昔は今とは比べ物にならないぐらい日常生活で体を使っていましたが、体をよく使う人の方が強い刺激に向いていることが多いです。

非常に細い日本の鍼

ですので、昔に比べて体を動かすことが少ない現代は、刺激量をより少なくする必要があります。
現代でも体を使う仕事をしている人やよく運動をしている人などは、そうでない人に比べて少し刺激を強くしたりして刺激量を変えることもあります。



強い刺激が好きでも向いているわけではない

そのほか体質によっても刺激量は異なってきますし、そのときの体の状態によっても刺激量を変える必要があります。
基本的に虚弱体質の方や体が弱っているときなどは、より刺激は少ない方が適しています。
また音や匂いなどに敏感な方も、刺激量は少ない方がいいです。

ただし、マッサージなどで強く揉んでもらうのが好きだからという人が、強い刺激に向いているとは限りません。
その場合、強い刺激を受け続けることで感覚が鈍ってしまい、より強い刺激でないとスッキリしないような感じに陥っている可能性があります。
この場合は強い刺激や刺激量を増やして施術を行うのではなく、少ない刺激でも効果を感じられるような体に変えていく必要があります。



適切な刺激量を施すことが大切です

鍼やお灸というのは、たくさんのツボに働きかけたり、強く働きかけたりすればいいというものではないのですね。
どんなことにも言えますが、適切な量というのをしっかり見極めて行うことが大切なのです。

セルフケアをされている方も、効果を出そうと思ってやり過ぎないようにしましょう。
刺激量が分からない場合は、ちょっと物足りないかな?という腹八分目ぐらいを目安に行うとよいですよ。
物足りないぐらいの刺激量のケアを日々継続していくことが、一番効果的で体への負担もありません。