産後のケアについて

産後の肥立ちとは

出産はとても嬉しく喜ばしいことですが、女性の体や心にとって大きな負担がかかるできごとでもあります。

昔は産後の肥立ちがいいとか悪いとか言いましたが、産後の肥立ちとは産前のような体の状態に戻るための回復期のことをいいます。
現在ではこの期間のことを「産褥期(さんじょくき)」といいますが、その期間はおよそ6~8週間とされています。


回復には個人差があります

ですが、この回復期間は大変個人差のあるものですし、6~8週間経てば元通りかというとそうではない方の方が多いと感じています。

また、現在のように赤ちゃんのお世話が大きくお母さんにかかっている上に、家事や仕事などもしなくてはならなかったりして、とてもとても自分の体の状態に気を配っている暇がないと思われている方が多いのではないでしょうか?

赤ちゃんのことで精いっぱいで、自分のことは後回し…そんな風に頑張っていらっしゃる方がたくさんいます。


産後の無理は後々に響きます

産後の女性というのは、一見すると以前とそんなに変わりがないように見えても、内側では体がバランスを崩したまま悲鳴を上げているような状態のことも多いのです。
それをそのまま回復せずに突っ走ってしまうと、いつまでも不調が残ったり、10年後20年後の更年期などに大きく体調を崩してしまうこともあります。

東洋医学では、出産にはたくさんの「血(ケツ)」を使うと考えています。
血とは体を作る材料であり、心身を働かせるためのエネルギーでもあります。
産後はその血が大変不足している状態なので、それが回復するまでは栄養のあるものを摂りながら、じっと無理をしないことが何より大切なのです。

「血」は目を使ったり根を詰めた作業をしても大きく消耗してしまうため、昔の人は「産後は本を読むな、裁縫するな」などと言っていました。
産後の血が足りないときに、さらに血を消耗するようなことをしてはダメだよという意味です。
それぐらい血が不足している状態なのですね。


鍼灸で産後のケアを

鍼灸では、産後の女性の方には、まず血を増やすような施術をメインに行っていきます。
いろいろな不調が出ていたとしても、その不調のほとんどは血の不足からきているためです。

もちろん同じ産後といっても、もともとの体質やどのような出産であったかによっても体の状態は違ってきますから、お話を伺いながらていねいにお体を見させ頂き、その方に合った施術を行っていきます。

また「鍼灸院には行きたいけれど、とても行ける時間がない」という方も多いと思います。
その場合、出張による施術も行っておりますので、ご検討頂ければと思います。

ただ、赤ちゃんのお世話でいっぱいいっぱいな方や、日中ずっと赤ちゃんと二人きりで気が張り詰めている方などは、できれば鍼灸院に足を運んで頂くのがおすすめです。

一人になってゆっくりと心身を休めながら施術を受けて頂くと、その時間が滋養となり、また元気に赤ちゃんに向き合える力が湧いてくると思います。

なかなかご事情で難しい場合もあると思いますが、通える範囲でも大丈夫です。
赤ちゃんだけではなく、ぜひご自分のケアも大切になさってくださいね。