眼精疲労について

目の疲れがなかなか治らない…

「目が疲れる」「目がかすむ」「目の奥が痛い」このような症状を訴えられる方はとても多いです。

今はスマートフォンやパソコンが日常になくてはならないものとなっているため、昔に比べて目を酷使する機会が増えたことが大きく関係しています。

しっかり休息をとって回復できればよいのですが、「休んでも目の疲れや痛みがよくならない」「何だか肩も凝っているし頭も痛くなってきた」このような状態になってしまうと、単なる疲れ目ではなく眼精疲労になってきます。

眼精疲労は目の使い過ぎが原因の一つでもあるのですが、東洋医学ではたとえ目の症状であっても全身が関係していると考えます。


目と関係が深い血

「産後に本を読んではいけない」というようなことを聞かれたことはあるでしょうか?
昔の人は産後の女性に対して、よくこのようなことを言っていました。

それは出産というのは、お腹で赤ちゃんを育て産み出すのに「血(ケツ)」をたくさん消耗するためです。
血というのは体にとってガソリンのようなものなのですが、目を使う行為は非常にガソリンを食うものなのです。

体のガソリンである血が不足してしまうと、さまざまな不調が起きてしまいます。
「産後に本を読んではいけない」というのは、ただでさえ産後は血が不足しているのに、目を使ってさらに不足させてはいけないよということだったのですね。


目を酷使することで血が不足する

このガソリン食いの目を酷使することを続けていると、産後でなくても日常的に体内の血が不足してきます。

血は体を動かすためのガソリンだけではなく、体のいろいろなものを栄養しています。
特に筋肉との関わりが深いため、不足することで首や肩、腰などの筋肉がこわばって凝りや痛みなどの症状が現れてきます。

また血そのものである生理に乱れが出たり、ガソリン不足で体の疲れやだるさが出てきたりもします。

目を酷使することは、単なる目の疲れや視力低下だけではなく、体のさまざまな不調を招く一因にもなりかねないのです。

鍼灸で眼精疲労にアプローチ

鍼灸では、眼精疲労に対して基本的には不足した血を増やしていくような施術を行います。
ただし、血の成分にも「陰のもの」「陽のもの」があると考えていますので、陰が不足しているのか陽が不足しているのか、両方不足しているのかなど、どのような状態なのかによってアプローチの仕方が異なってきます。

目の疲れがひどいときに温めて楽になる場合もあれば、冷やす方が楽になる場合もあります。
これは陰(冷たいもの)の不足で熱を持っているのか、陽(温かいもの)の不足で冷えているのかによるためです。
見極めて対処しないと逆効果になりかねないので、注意が必要です。

疲れ目ぐらいであれば、目をしばらく休めたり体を休めたりすることで回復できますが、眼精疲労になってくると体のバランスがだいぶ崩れてしまっている状態ですので、ぜひ鍼灸の施術を検討して頂けたらと思います。