経絡とツボを使った施術について

経絡とツボとは?

鍼灸では経絡(けいらく)やツボといったものに働きかけることで、体のバランスを整えていきます。
しかし経絡やツボとは、一体どのようなものなのでしょうか?

「ツボ」というのは、はっきりとは分からなくても何となくご存じの方が多いと思います。
「花粉症には〇〇のツボ」「便秘には〇〇のツボ」など、押すことで不調がよくなりそう、体によさそう、そんなイメージを持たれているのではないでしょうか?

もぐさをひねった小さなお灸をツボにすえます

このツボというのは、頭のてっぺんから足の先まで体中に360個ほど存在しているのですが、星のように点々と点在しているのではなく、基本的には「経絡」という体を流れる川のようなものの上に存在しています。

そんな経絡とツボの関係を、経絡=電車の路線、ツボ=駅にたとえたりすることもあります。
山手線が経絡だとしたら、「東京」「品川」などがツボといった感じです。


経絡の流れ

この経絡には何が流れているのかというと、東洋医学で考える「気」「血」といったエネルギーのようなものが流れています。
経絡は1本だけではなく何本も体を流れているのですが、体の臓器はもちろん目や鼻といった感覚器官、皮膚や骨などあらゆるものとつながっています。

また、それぞれの経絡は、つながっているものや支配しているものが違うため、1本1本に特性があります。
目と関係が深い経絡、肺と関係が深い経絡などといった感じです。

この経絡が澄んだ川の流れのように健やかで、滞りなく体中をめぐることで、すみずみまで栄養が届き、心身の健康が保たれています。
ということは、不調や症状というのは、この経絡を流れる気や血が少なくなったり淀んだりすることで現れてくるといえるのです。


不調のもととなる原因を考える

不調や症状があるときは、どこの経絡に問題が起きているのかをまず判断する必要があります。
そして、なぜその経絡に問題が起きているのかも考えなくてはなりません。

山の豊かな樹木が土壌の栄養をつくり、それが川に流れることで、最終的に豊かな海をつくっていると言われています。

それと同じように、人間の体もいろいろなものが関係しあい、支えあって働きが保たれています。
ですので痛いところがあれば痛いところに施術をすればいいわけではなく、体の仕組みをしっかり考えた上で原因となるものを判断し、アプローチする必要があります。


ツボにも特性がある

問題となっている経絡や原因を考えアプローチする経絡が決まってきたら、今度はその経絡の中のどのツボに鍼やお灸をするのかを決める必要があります。

さきほどツボを駅にたとえましたが、駅では電車に乗ったり降りたりしてたくさんの人が出入りしています。
それと同じように経絡上にあるツボでは気が出入りしていると考えています。

この経絡上にあるたくさんのツボたちですが、それぞれ特性が備わっています。
それは「花粉症に効くツボ」とか「やせるツボ」などといった特性ではなく、たとえば「気のめぐりをよくするツボ」とか「気や血を増やすツボ」とかそういった特性です。

ですので、この経絡に対してどのように働きかけたいのか、または経絡につながっている〇〇をどのようにしたいのかということを考えてツボを選んでいきます。
またどのような鍼やお灸を使うのか、それをどのように扱うのかということでも、働きかける力が変わってきます。


実際の施術では

実際の鍼灸の施術になると、まずどんな不調を感じていらっしゃるのかお話を伺い、脈や舌、お腹など体のいろいろなサインから今の体の状態や不調の原因を読み取っていきます。

そしてどの経絡を選びどのツボを組み合わせれば、よくなっていくのかを考えます。

ツボを刺激する細い鍼

その上で、適切な鍼やお灸を使ってツボを刺激します。
ツボの刺激により経絡という川の流れが健やかになってくると、それにつながっているものたちのバランスも整い、現れていた不調が自然と癒えていくということになります。