食欲不振について

風邪でもないのに食欲がない…

風邪をひいたり体調を崩したときに、食欲がなくなることは誰でも経験することですが、中には「風邪をひいたわけでもないのに最近食欲がない」「風邪は治ったのだけど食欲が戻らない」「もともと食が細くて食べられない」など、食欲がないことについて悩んでいらっしゃる方もいらっしゃいます。

もともと胃の弱い方は、他の人が食べているものを頑張って食べると量が多くて負担になったり、ちょっと消化の悪いものを食べたりしただけでも胃の調子が落ちて食欲がなくなってしまうこともあります。
また特に胃が弱くない方でも、強いストレスを受けたり長い間ストレスを受け続けていることによって、食欲が落ちてしまうことがあります。

食欲が落ちて食事がとれない状態が続くと体に栄養が補給されませんから、そのことでさらに調子を崩してしまう心配もあります。
そのため食欲があるというのは、とても大切なことなのですね。


胃の冷えが食欲不振につながる

鍼灸で食欲不振にアプローチをする場合、まずはどのような種類の食欲不振かということを知る必要があります。
「食欲はないけど食べたら意外と食べられる」「お腹は空くが食べるとすぐお腹がいっぱいになる」「食欲もないし食べられない」「食欲がないときと急に食欲が出るときとムラがある」など、意外と食欲不振にもタイプがあるのです。

東洋医学では胃で食べ物を消化することを「釜や鍋でコトコト煮る」という風に例えたりすることがあります。
食欲というのはその胃の鍋が温まって「食べ物を煮る準備ができているよ」というときに起きてくると考えるのです。

ですので、胃が温まらず冷えたままの状態が続くと「食欲がない」ということになります。
ただし、この”胃の冷え”というのは実際胃が冷えている状態も含みますが、東洋医学での冷えや熱というのは陰と陽という概念的なものも含むため、お腹(胃の上)を触って冷えてないから大丈夫というわけではないので注意が必要です。


食欲はあるけれども…

胃が健康な状態であれば胃の鍋そのものが温まった状態なので食欲が湧いてきますが、胃は弱っているけれどもまわりの器官の熱が旺盛で、その熱の影響で胃の鍋が温まっているようなときがあります。

一見温まっているので食欲は出てくるのですが、実際食べてみると鍋(胃)そのものは弱って火力がないため、急にお腹がいっぱいになったり食べられなくなったりします。
この場合、食欲があるけれども胃は元気ではないので、決していい状態とはいえないのです。

また胃は冷えているのに腸には熱があるというような状態のときもあります。
こういった場合は、冷えと熱が押し合いっこをするため、食欲がないと思ったら急に食欲が出たりと、その押し合いっこの状態に食欲が影響されます。


食欲不振になってしまう原因

このように食欲が落ちたり食べられなくなってしまう原因としては、胃そのものを冷やしてしまうような冷たいものや生ものの摂りすぎ、また自分が消化できる範囲を超えた暴飲暴食、ストレスによる考えすぎや気疲れ、また風邪や感染症などが原因として考えられます。
その方の体質やそのときの体の状態によって変わりますが、これらがきっかけとなってさまざまな形の食欲不振を起こすことになります。

それでも一時的ですぐに食欲が戻るようであれば大丈夫ですが、よくなってはまたすぐ食欲がなくなるとか、なかなかよくならない場合は、体のバランスが崩れた状態にありますので、鍼灸でバランスを整え、胃の鍋が温まり食べ物を受け入れられるような状態に持っていくことで、自然と食欲が戻ってきます。
また、もともと胃が弱い方も、継続して鍼灸を受けて頂くことで胃を丈夫にしていくことができます。

ただし、長い間食欲不振が続いてたり体重の減少が見られたりするときは、胃腸をはじめ肝臓、すい臓などの消化器系の病気や、うつ病といった他の病気も考えられますので、一度医療機関を受診した方がよいでしょう。

最近食欲がない、食欲が戻らない…といったお悩みを抱えている方、どうぞお気軽にご相談くださいね。