治しと癒しと養生

体や心の健康へのアプローチは、”治し”と”癒し”と”養生”に分けられると思っています。
鍼灸院へは”治し”を求めて来られる方が最も多いと思いますが、”治し+癒し”を求めて来られる方、また”癒し”を求めて来られる方もいらっしゃいます。

”治し”というのは、痛みや不快感など症状や不調を改善するために施術者がアプローチするものです。
”養生”は、アドバイスを伝えたりお手伝いをすることはできても施術者にはできないものなので、これはご自分自身で取り組んで頂くしかありません。
今回はこの2つ以外の”癒し”についてです。

”癒し”という言葉はいつの頃からかよく使われるようになり、かわいいものを見て「癒された」とか温泉につかって「癒された」などと言われることが多いと思います。
そのような”癒し”ももちろんありますが、”癒し”というのは実は海のように深さがあり、かわいいものを見て癒されるのは波立つ海の表面あたりの”癒し”で、そこから潜っていくほど”癒し”のレベルが深くなっていきます。

深海に近くなる深い”癒し”になるほど「癒された」という言葉では表現できないほどのもので、混乱していたパズルのピースが次々はまって新しい絵が出来上がるように、体や心の奥深くからその人自身の調和が起こるものだと思っています。
その結果として体や心のバランスが整い症状や不調が消えていくこともありますし、価値観や考え方が変わって生き方にも変化が現れてくるかもしれません。

鍼灸というのは、”治し”はもちろん深い”癒し”を起こすきっかけを作ることができるのではないかと私は考えています。
また”癒し”があってこその”治し”でもあるとも思うので、今後もそのような施術ができるよう取り組んでいきたいと思っています。