ほどけるようにゆるむ

鍼やお灸の刺激はちょっとした刺激なのに、どうして身体がゆるむのか不思議に思う方もいらっしゃるようです。

それは外からの刺激が直接的に働いている部分もありますが、その方自身の力で身体そのものが内側からゆるんでいるからなのです。

たとえば緊張している身体がくしゃっと丸めたティッシュだとしたら、ゆるめようと外からギュウギュウ押すとかえって固くなってしまいます。
また無理に広げようとして引っ張っても、あやまって破いてしまいかねません。
紙を広げようとするならば内側からそっとほどけるようにゆるむ必要があるのです。

鍼やお灸は小さな小さな刺激です。
その繊細な刺激は「ゆるんでいいよ」という信号を全身に送ってくれます。
そうすることでスイッチが入り「あぁ、力を入れなくていいんだなぁ」と身体が自分自身で緊張をほどいてくれます。

自分自身で緊張をほどくというのは、握っていたグーの手をパーに開くようなものです。
することは簡単なのですが、実際自分自身ではグーにしていることに気づいていないことが多いのです。
そんなときに「トントン、握ってますよ」と教えてあげると、ハッと気づいて手をほどくことができるのですね。

外からの強い刺激が有効なときもありますが、内側からゆるむためには繊細な力で働きかけることが大切なのです。