肩関節周囲炎(五十肩)

四十肩、五十肩とは?

「急に肩の痛みが出てきた」「腕が上がらなくなった」といった症状に悩まされている方、多いです。
思い当たる原因もないのに、急に痛みが出てきてびっくりされる方もいます。

40代、50代に多いことから四十肩、五十肩などと呼ばれていますが、実際は「肩関節周囲炎」といったりします。
名前の通り肩関節の周囲(関節包など)に炎症を起こしているために、痛みや腕が上がらないなどの運動制限が出てくると考えられています。
夜に痛みが増すことが多く、「じっとしていても痛い」「痛みが強くて眠れない」ととても辛い思いをされている方もいます。
運動制限があると、「腕が上がらず頭も洗えない」「手が後ろに回せずエプロンのひもが結べない」など日常生活にも支障が出てきます。

数か月~1年ほどでよくなる場合が多いのですが、中にはよくなるまで数年かかってしまうこともあります。
また同じ肩の痛みでも、肩周辺の筋肉が骨からはがれてしまう「腱板断裂」、カルシウムが沈着してしまう「石灰沈着性腱板炎」といった病気の場合もありますので、まずは医療機関で検査をしてもらいましょう。
その上で鍼灸の施術を受けて頂くのをおすすめします。

鍼灸で五十肩にアプローチ

四十肩、五十肩でも、ひどい痛みがある場合や痛みはないけど腕が上がらない、夜だけ痛むなど、人によって少しずつ症状が違います。
また運動制限も、前方へ上げにくい、横に上げにくい、後方に上げにくいなど、人によって異なることが多いです。
鍼灸ではその違いをよく吟味して、原因や状態に合わせてアプローチしていきます。

東洋医学では、「経絡(けいらく)」といったエネルギーの流れが、川のように体を流れていると考えています。
その経絡が、肩から腕にかけて前面に3本、後面に3本の計6本が流れています。
何らかの原因によってその経絡の流れが悪くなってしまうと、痛みや運動制限が出てきます。

原因としては、筋肉を栄養したり体をつくったりする大切なエネルギーである「血(けつ)」が、不足したり、冷えたり熱をもったり、ドロドロとした状態になったりして、流れが悪くなっていると考えられます。
川の水が詰まってうまく流れなくなっているのをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
そうなると肩や腕の栄養がいかない部分に痛みが出たり、流れの悪い部分が動かしにくくなったりします。

同じ四十肩、五十肩でもこのように原因が違いますので、お話を詳しく伺った上で脈や舌、お腹などをみさせて頂きながら、どうして経絡の流れが悪くなっているのかを判断していきます。
また6本のうちどの経絡のどの部分の流れが悪くなっているのかも見極めなければなりません。
そうして経絡がうまく流れるように調節しながら、流れが悪くなってしまう根本原因にもアプローチします。

鍼とお灸を使って施術を行いますが、流れの悪くなっている部分にはもぐさをひねってすえるお灸がとてもよく効きます。
1回の施術ですぐ改善というわけにはいきませんが、痛みや運動制限が出てから早めに鍼灸を受けてくださるほど治るまでの日数も早くなります。

四十肩、五十肩でお困りの方、どうぞお気軽にご相談ください。

もぐさをひねってすえる小さなお灸